空き家の固定資産税を考えるときは、管理不全空家への「指導」と「勧告」を分けることが出発点です。管理状態が悪いと判断されたことや指導を受けたことだけで、直ちに住宅用地特例が外れるわけではありません。指導に従わず、市区町村長から空家法に基づく勧告を受けた管理不全空家・特定空家の敷地が特例除外の対象です。
先に結論:税額だけでなく勧告までの段階を確認する
通知が届いたら、文書名、根拠条文、対象となる建物と土地、求められた改善、期限、担当課を確認します。指導の段階なら、危険箇所の応急措置だけでなく、今後の管理・修繕・活用・売却・除却の方針を期限内に伝えます。すでに勧告を受けた場合は、住宅用地特例の扱いと改善後の手続を市区町村の空き家担当課・税務担当課へ確認してください。
通常管理・指導・勧告は同じ段階ではない
2023年施行の改正空家法では、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある空き家を「管理不全空家」として、市区町村が指導・勧告できる仕組みが設けられました。屋根や外壁の損傷、立木や雑草、衛生・防犯上の状態などを総合して判断するため、古い、空室である、庭木が一本伸びた、といった一項目だけで全国一律に決まるものではありません。

| 段階 | 確認する文書・事実 | 優先する行動 |
|---|---|---|
| 通知前・相談段階 | 現況、近隣からの連絡、管理頻度、危険箇所 | 写真を残し、飛散・倒木等の緊急性を点検 |
| 指導 | 根拠、改善箇所、期限、再確認方法 | 改善計画と管理・活用・処分方針を担当課へ共有 |
| 勧告 | 勧告日、対象地番、住宅用地特例の扱い | 空き家担当課と税務担当課へ課税時期と解除条件を確認 |
| 特定空家への措置 | 助言・指導、勧告、命令等のどの段階か | 危険除去を優先し、必要に応じ専門家へ相談 |
指導だけで住宅用地特例が外れるわけではありません
国土交通省の案内では、管理不全空家または特定空家への指導に従わず勧告を受けると、敷地は固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れます。管理不全空家と呼ばれた時点、現地確認、助言、指導、勧告を同じものとして扱わないでください。
一方、家屋の状態から客観的に住宅と認められない、使用の見込みがなく取壊し予定であるなど、そもそも住宅用地に当たらないと判断される場合は、管理不全空家等への勧告とは別の理由で特例が適用されないことがあります。個別の課税判断は所在地の市区町村が行うため、文書と地番を示して確認します。
「固定資産税が一律6倍」とは限らない
住宅用地特例では、固定資産税の課税標準が、小規模住宅用地の200平方メートル以下の部分は6分の1、200平方メートルを超える一般住宅用地部分は3分の1に軽減されます。ただし、特例が外れた後の最終的な納税額を現在額の一律6倍として計算することはできません。土地の評価額、面積区分、都市計画税、負担調整措置などが関係するためです。
| 確認資料 | 見る場所 | 質問すること |
|---|---|---|
| 固定資産税納税通知書 | 土地・家屋の地番、課税標準額、税額 | どの筆・どの面積に住宅用地特例が適用中か |
| 空き家担当課の通知 | 指導か勧告か、日付、改善内容 | 改善確認の方法と次の手続 |
| 税務担当課の説明 | 賦課期日と特例除外の反映時期 | 対象年度、概算、改善後の取扱い |
固定資産税は原則として毎年1月1日の所有者と土地・家屋の状況を基に課税されますが、勧告日と翌年度の扱い、改善後の確認方法は自治体へ照会してください。売却や解体の時期も税だけで決めず、契約条件、解体費、管理費、引渡し時期を含めて比較します。
通知が届く前後に残す7つの記録
- 1建物四面、屋根、外壁、門塀、庭、道路側を日付付きで撮影する
- 2雨漏り、傾き、飛散物、害虫、雑草、越境、施錠の状態を一覧にする
- 3市区町村から届いた封筒・文書・担当課・連絡日時をまとめる
- 4管理会社や親族が行った清掃・草刈り・補修の実施日を残す
- 5応急措置と恒久対応を分け、見積りの工事範囲をそろえる
- 6土地・建物の登記、共有者、残置物、境界、接道を確認する
- 7修繕して保有、賃貸・活用、現況売却、除却後売却の期限と総費用を比べる
危険な屋根や擁壁へ自分で上らず、道路への落下物や倒壊のおそれがあるときは周囲の安全確保と市区町村・消防等への連絡を優先します。写真は現況把握に役立ちますが、構造安全を保証するものではありません。
売却・修繕・除却は「勧告回避」だけで決めない
最低限の補修で指摘箇所を直せても、その後の巡回や再発防止を続けられなければ問題が戻ります。反対に、税負担だけを恐れて急いで解体すると、解体費、家屋分の税、土地の活用・売却条件が変わります。次の12か月に必要な管理費、工事費、税の概算、完了までの期間を一枚に並べてください。
- 保有継続:巡回、草刈り、保険、修繕、近隣対応を誰が行うか
- 修繕・活用:耐震・設備・接道・用途の条件と投資回収を確認したか
- 現況売却:残置物、契約不適合責任、境界、引渡し条件を査定に含めたか
- 除却後売却:解体見積り、補助制度、滅失登記、土地需要を先に確認したか
遠方にあって管理が続かない場合は地方の空き家を手放す選択肢で出口を整理し、建物や権利に難しさがある場合は訳あり不動産の売却方法と照らして、現況のまま相談できる範囲を確認します。
管理・修繕・解体の負担を決める前に
ラクウルの案内を確認する
所在地、空き家の状態、市区町村からの文書、残置物、共有状況、希望時期を整理し、現況のまま相談できる条件を確認できます。勧告や個別の税額、法的手続は市区町村・税理士・司法書士・弁護士等へ確認してください。
よくある質問
管理不全空家に指定されたら、その日から税額が変わりますか?
指定・指導と勧告は別段階です。住宅用地特例の除外は勧告を受けた敷地が対象ですが、課税年度への反映や個別事情は市区町村へ確認してください。
草刈りだけで指導は解除されますか?
指摘箇所によります。屋根、外壁、立木、衛生、防犯など複数の問題があれば、草刈りだけでは改善確認に足りません。担当課が求める内容と確認方法を文書でそろえます。
解体すれば固定資産税は必ず下がりますか?
必ずではありません。家屋分がなくなる一方、土地の住宅用地特例が使えなくなることがあります。解体前に税務担当課へ概算を確認してください。

