相続した実家などの空き家を売却しようとしたとき、建築時期によっては「旧耐震基準」に該当し、買主側の住宅ローンや税制優遇に制約がかかることがあります。旧耐震基準とは1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用されていた基準で、現行の新耐震基準に比べて耐震性の要求水準が低いのが特徴です。旧耐震基準だからといって売却自体ができないわけではありませんが、買主が付きにくくなったり、価格交渉で不利になったりする要因になり得ます。ここでは旧耐震基準の空き家売却における具体的な影響と、相続空き家の3000万円控除との関係を整理します。
旧耐震基準が売却に与える主な影響
| 影響の種類 | 内容 |
|---|---|
| 住宅ローン控除 | 買主が住宅ローン控除の適用を受けられない、または耐震基準適合証明書の取得が必要になるケースが多い |
| 住宅ローンの審査 | 金融機関が担保評価を厳しく見る、融資額が希望より減額される可能性がある |
| 買い手の対象 | 住宅ローンを使う実需の買主より、現金購入や解体前提の買主に限られやすい |
| 売却価格 | 同条件の新耐震物件と比べて指値交渉が入りやすく、成約価格が下がる傾向がある |
住宅ローン控除の適用は金融機関の判断だけでは決まらず、税法上の要件を満たす必要があります。要耐震改修住宅を取得する区分では、取得前の申請、取得後6か月以内の入居までの改修と証明などの要件があるため、契約前に国税庁の案内と所轄税務署で確認してください。ただし証明書取得には別途費用と時間がかかるため、買主・売主のどちらが負担するかを事前に話し合っておくことが重要です。
相続空き家の3000万円控除との関係
相続空き家の3,000万円特別控除は、要件を満たせば売却後の耐震改修や取壊しでも適用対象となる場合があります。2024年1月1日以後の譲渡には、譲渡年の翌年2月15日までに一定の耐震基準を満たすか、家屋を全部取り壊す区分があります。相続後の利用状況や売却期限など他の要件もあるため、国税庁の「No.3306」と所轄税務署で確認してください。つまり旧耐震基準のまま建物を残して売却する場合、この特例の対象外になることがあるため注意が必要です。相続した空き家の税負担を軽減する制度の詳細は、相続空き家の3000万円控除の仕組みで解説しています。
旧耐震基準の空き家を売却する際の選択肢
- 耐震診断を受け、必要な補強を行ってから売却する(費用はかかるが買い手の幅が広がる)
- 建物を解体し更地として売却する(3000万円控除の対象になりやすいが解体費用が発生する)
- 現況のまま「古家付き土地」として売却し、解体・改修は買主に委ねる
- 不動産会社に旧耐震基準であることを正直に伝え、想定される買主層に合わせた価格設定を相談する
解体して更地にする場合は、解体後の固定資産税の増額や自治体の解体補助金の申請条件もあわせて確認しておくと資金計画が立てやすくなります。解体費用の相場や補助金の注意点は、空き家の解体費用の相場と補助金の注意点で詳しく解説しています。
現況のまま売却する場合の注意点
旧耐震という理由だけで、住宅ローン控除が一律に利用できないとは限りません。ただし、控除を前提に資金計画を立てる前に、対象住宅・改修・申請時期などの要件を税務署で確認してください。老朽化が進んだ空き家をそのまま売却する場合の考え方は、残置物をそのままにした空き家の売却方法もあわせて参考にしてください。
旧耐震基準の空き家でも売却できるか相談する
訳あり空き家の売却条件を確認する
建物の建築時期(建築確認日)、耐震診断の有無、解体済みか現況のままかを伝えると、旧耐震基準の物件でも売却できる条件を比較しやすくなります。

