相続放棄の申述が受理された通知を持っていても、実家の鍵を預かり、家財を置いたまま、ときどき換気や草刈りへ行っているなら、通知だけで対応を終えない方が安全です。最初に確認するのは、放棄が受理された日、次順位の相続人、放棄時にその空き家を現に占有しているか、誰へ引き渡せるかの4点です。
先に結論:相続放棄と空き家の引渡しは別に確認する
相続放棄によって、亡くなった人の権利と義務を相続しない扱いになります。しかし、空き家が自動で国のものになるわけではありません。民法940条は、放棄時に相続財産を現に占有している人について、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまでの保存を定めています。誰が「現に占有」しているかは鍵の所持だけで一律に決められないため、現況を整理し、家庭裁判所の手続案内と弁護士・司法書士等の専門家へ確認します。
最初に4つの日付と空き家の現況を一枚にする
裁判所は、相続放棄の申述を、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行うと案内しています。財産調査をしても判断材料が足りない場合は、期間伸長の申立てが用意されています。放棄前なら、空き家だけでなく預貯金、借入れ、税金、共有関係なども含め、期限内に専門家へ相談します。
| 整理する項目 | 確認する事実 | 残す資料 |
|---|---|---|
| 相続開始を知った日 | 死亡日だけでなく、自分が相続人になったことを知った経緯 | 戸籍、通知、郵便物、連絡記録 |
| 放棄の手続 | 申述日、受理日、申述人、次順位の親族 | 受理通知書、事件番号、家族への連絡記録 |
| 空き家との関わり | 居住、鍵、家財、管理費負担、出入り、第三者への貸与 | 写真、領収書、訪問記録、鍵の本数 |
| 危険と連絡先 | 雨漏り、倒壊、漏電、雑草、隣地への影響、管理会社 | 日付入り写真、市区町村や近隣からの文書 |
相続放棄が受理されても所有・保存・国庫移転は同時ではない
相続放棄が受理されると、申述人は初めから相続人ではなかったものと扱われます。一方、相続人がいなくなった財産を清算する手続は別です。家庭裁判所は、相続人の存在が明らかでない場合や全員が放棄して相続する人がいなくなった場合、申立てにより相続財産清算人を選任すると案内しています。選任も国庫への移転も自動ではありません。

保存義務の分かれ目は放棄時の「現に占有」
現行の民法940条は、相続放棄した人全員に一律の義務を置く形ではありません。放棄時に相続財産に属する財産を現に占有している場合に、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで、自分の財産と同じ注意をもって保存することを定めています。
ただし、どの状態が現に占有に当たるかは、空き家との具体的な関わりで判断されます。「鍵を持っているだけなら必ず該当しない」「遠方に住んでいれば該当しない」と決めつけず、居住歴、家財の保管、出入り、管理費の負担、第三者への指示などを専門家へそのまま伝えます。
売却や解体を進める前に相続への影響を確認する
放棄を検討している段階で、空き家を売る、解体契約を結ぶ、価値のある家財を処分するなどの行為を先に進めると、相続の承認との関係が問題になることがあります。この記事だけで可否を判断せず、対象行為と契約前の状態を弁護士等へ示してください。
まだ放棄を決めておらず売却も比較したい場合は、相続関係と登記の確認順を相続登記前の空き家売却手順で整理できます。相続放棄がすでに受理されている場合は、自分を売主として査定や契約を進めず、引渡し先と権限を先に確認します。
次順位の相続人へは事実と資料をまとめて連絡する
先順位の相続人が放棄すると、父母・祖父母、兄弟姉妹、おい・めいなど、別の順位の人が相続人になることがあります。次順位の人にも各自の熟慮期間があります。放棄を強要せず、亡くなった人、空き家、債務、先順位者の受理状況、鍵や資料の保管状況を正確に伝えます。
- 被相続人と空き家の所在地
- 相続放棄受理通知書の有無と申述人
- 鍵、登記識別情報、固定資産税通知、保険書類の保管場所
- 雨漏り、倒壊、漏電、不法侵入など緊急性
- 市区町村、管理会社、近隣から届いた連絡
相続人がいないなら相続財産清算人の要否を確認する
家庭裁判所の案内では、相続財産清算人の申立人は利害関係人または検察官です。申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で、戸籍一式、財産資料、利害関係資料などが求められます。財産から管理費用や報酬を賄えない可能性がある場合、予納金を求められることもあります。
放棄した人が必ず申立人になれる、または必ず申立てなければならないと一律にはいえません。空き家の危険、債権者、特別縁故者、残る財産、申立人の利害関係を伝え、家庭裁判所の手続案内と専門家へ確認します。
引渡しまでに最低限そろえる記録
- STEP 1外観、雨漏り、設備、家財、境界付近を日付入り写真で記録する
- STEP 2鍵、書類、連絡先、支払済み費用を一覧にし、勝手に廃棄しない
- STEP 3次順位相続人または清算人へ、渡した物と日時が分かる形で引き渡す
- STEP 4倒壊や漏電など差し迫った危険は、安全を優先して行政・消防等へ連絡する
放棄以外の処分方法も比較する段階なら、地方の空き家を手放す選択肢で、仲介、買取、寄付、解体などを並べてから決めます。
相続放棄を決める前に現況売却も比較する
ラクウルの案内を確認する
まだ相続放棄が受理されておらず、空き家を相続して売る選択肢も検討できる段階なら、所在地、建物状態、残置物、共有関係、相続人、希望時期を伝えて現況売却の条件を確認できます。すでに放棄が受理された人は、自分を売主として申込みを進めず、法律専門家へ権限を確認してください。
よくある質問
相続放棄が受理されたら空き家は国のものですか?
自動ではありません。次順位の相続人がいる場合があり、相続人が明らかでない場合も相続財産清算人の選任・清算など別の手続があります。
鍵を持っているだけで現に占有していることになりますか?
鍵だけで一律に結論は出せません。居住、家財、出入り、管理費負担、第三者への指示など具体的な関わりを整理し、専門家へ確認してください。
相続放棄前に家財を捨ててもよいですか?
価値や処分行為によって相続への影響が問題になる可能性があります。緊急の安全確保を除き、写真と目録を残し、処分前に弁護士等へ相談するのが安全です。
清算人を選べばすぐ売却できますか?
清算人は家庭裁判所が選任し、不動産売却には裁判所の許可が必要になる場合があります。申立て、公告、財産調査、債権者対応を含むため、すぐ売れるとは限りません。

